(ボネ神父伝4)◆1-3、馬の乳
江藤きみえ『島々の宣教師 ボネ神父』、4
第1部 選ばれた一粒のたね ある宣教師の生いたちと布教
◆1-3、馬の乳
しかし、おおく恵まれたものは、おおく返さねはならないといわれているように、いっか坊やも成長して、遠い異郷の地に56年の長いぎせいをささげる日がくることでしょう。でも今は、まだ幸福だけがほほえんでいます。それに丈夫な男の子の常として、わんぱく時代も通過するはずだったのです。
そのころのマキシム坊やは、ちょうど光の子のように明るくて、そのうえ、深い伝統につちかわれたキリスト教的愛徳のあたたかいふんい気につつまれておりました。
「神のふところからこぼれ落ちた小さな種子よ、春の日をうけ、めぐみの慈雨にはぐくまれて、すくすく育ちなさい、身も心もすこやかに」。