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【社説】中国の「皇帝」に屈するローマ法王(WSJ)

カトリック

【社説】中国の「皇帝」に屈するローマ法王
陳日君・枢機卿(17年8月、ロサンゼルス) Photo: Ringo Chiu/Zuma Press
2018 年 2 月 2 日 13:27 JST  The Wall Street Journal

 香港の引退司教である陳日君・枢機卿(86)ほど遠慮なくローマ法王庁(バチカン)を批判してきた高位聖職者はほとんどいない。今週には公開書簡でこう述べた。「バチカンは中国のカトリック教会を売り渡しているのか。その通りだ」

 陳氏が言及したのは、カトリック教会に忠誠を誓った地下教会の司教2人にバチカンが退任を迫り、かつて破門した中国政府系の司教を後任に据えようとする動きだ。陳氏は懸念のあまりローマに飛び、フランシスコ法王との緊急の面会を求めた。打撃の大きさを訴えて法王に翻意を促すためだ。

 法王は無視した。1日には、中国政府が選んだ司教7人の正統性をバチカンが認めることを決めたとのニュースが飛び込んできた。カトリック教会の長であり自国の元首であるフランシスコ法王は、どのような対中路線を描くのも自由だ。しかし、法王にとって最も重要な責務のひとつについて中国の指示に従うとは驚きだ。その責務とは、自らの信徒の群れを導く司教の選出である。

 特に中国では、カトリック信者の多くがこの譲歩に落胆している。確かに、中国政府がカトリック教会の法的地位を正常化し、信者を支援しやすい環境を整える方向に持ち込むことはバチカンの正当な利益になる。だが習近平国家主席は自由化に何の関心も示していないかのようだ。それどころか無神論者の習氏は昨年10月、宗教はこの共産主義国家に脅威を及ぼすと述べている。

 中国では人権侵害が悪化しており、特に信仰者に対する扱いはひどい。政府は地下教会でのミサ出席を制限するなど、宗教取締法を本格的に執行し始めた。キリスト教徒は続々と拘束されている。政府は教会の解体も続けている。最近では、国内有数の貧しい地域に地元信者からの献金300万ドルで建てられた福音派の大型教会が解体された。

 今回のバチカンの配慮は法王の中国訪問、あるいはバチカンと中国政府の国交正常化という歴史的合意への地ならしではないかとの見方もある。だとすれば、さらに大きな打撃が予想される。バチカンが台湾との外交関係を断絶し、同地のカトリック信者を見捨てることに合意しないまま、そうした国交回復が実現するとは想像しがたい。中国が合意を切望する外国人につけ込む達人であることは歴史が示している。

 もしかするとフランシスコ法王の行いが正しかったことが証明されるかもしれない。だが法王が今回の対応の過程で、中国政府を相手に長く苦しい道を歩んできた陳氏をシャットアウトしなければならなかったことは象徴的だ。バチカンは主の助言を思い出すべきだろう。主は「皇帝のものは皇帝に返す」ようにと言われたのであって、皇帝に屈するようにとは言われなかったのだ。

http://jp.wsj.com/articles/SB10238705466860743512604584020000746142062
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